下の図を見てほしい。これは2021年8月18日時点での「新規感染者」と「PCR検査数」の推移
新規感染者とPCR検査数
※チャートで見る日本の感染状況 新型コロナウイルスより
特に見てほしいのは第4波(5月前後)と現在の第5波。感染者数は2倍以上膨れ上がっているのに、PCR検査数はそれほど変わらない。
普通であれば倍くらいのPCR検査実施数になっているはずだ。
東京都の陽性者率
もうこれは保健所の限界を超えている状況といえる。特に感染者が急増している大都市ほど顕著ではないのか。
PCR検査が増えない状況で新規感染者数が増えるということは、陽性者率が高くなるということ。
※東京都モニタリングより
7月はまだ陽性率5%程だったが、8月半ばでは20%を超えている。8月18日では23.3%だ。
PCR検査数がこれ以上増えないということは、特に東京ではもう新規陽性者も増えないことになる。これをカンストという。
※カンストとは、カウンターストップまたはカウントストップの略。数字のカウントが上限に達し、それ以上のカウントがストップされること。
実際には倍くらいいてもおかしくない。いやそれ以上なのかもしれない。
東京都の8/19の陽性者が5534人。実際は1万人を超えているのではないか。
世界のPCR検査比較
では、世界と比較して日本のPCR件数は多いのか少ないのか。
このグラフは1000人当たりの検査数の推移だ。
これを見ればいかに日本が検査していないかわかる。
日本の人口1000人当たりの検査数は0.71件(2021年8月11日)
最も多いのはイギリスで10.97件で日本の15倍だ。日本はPCR検査を充実させると言っていた。しかし実際はそうなっていない。
尾身会長「実態の感染者数は多い」
内閣委員会で政府新型コロナ分科会・尾身会長が以下のような発言をしている。(2021年8月18日)
「実際に報告されているよりも、実態の感染者数は多いと思う」
その理由として、「検査の供給体制が間に合っていない」「無症状者が積極的に検査を受けようとしない」ことを挙げている。
その上で感染者数が急増している要因として「政府のメッセージの出し方にも改善の余地」があるとして社会全体の協力を得られるよう注文を付けた。
さいごに
千葉県で自宅療養の妊婦早産で新生児死亡というニュースが流れた。
自宅療養中の妊婦が入院調整が行われたものの受け入れ先が見つからず、そのまま自宅で出産し、赤ちゃんが亡くなった。
今や感染者が入院することもできない。特に妊婦の出産には危険が伴うため病院側も体制が整わない限り受け入れたくないのが本音だろう。
政府は自治体まかせ。自治体は手一杯な状態でも従来のやり方を変えない。
一体いつまでこの状況が続くのだろう。誰かが亡くならないと改善されないのか。
もっと危機感を国民に煽るべきだ。災害として捉えているなら、特にNHKなどは1日中特番を放送するべきだろう。検査数を増やし実態を公表する。死亡者、重傷者だけではなく、中等症患者でも入院できない非常事態であることを国民に訴えかけてほしい。
いつまでも棒読みで原稿を呼んで、側ではオリンピック、パラリンピックは安心・安全と開催する。そういうダブルスタンダードでは国民に危機感は伝わらない。