中年メディア編集長が日々思うことや時事ニュースをお届けします。

メディア編集長の日々徒然

張本勲氏が炎上 なぜテレビで使い続けるのか

2021年8月11日

サンデーモーニング(TBS系)でコメンテーターを務めている張本勲。
8月8日の放送で女子ボクシングをめぐって発言した内容が議論を呼んでいる。

「嫁入り前のお嬢ちゃんが顔を殴り合って。こんな競技好きな人がいるんだ」と発言。
この発言に対し、日本ボクシング連盟が「サンデーモーニング」に抗議文を送った。

なぜ張本氏を使い続けるのか

張本勲は、番組内ではご意見番的な存在であり歯に衣着せぬ物言いで人気も高い。だがコメントに偏りがあるという。


2019年にも「楽をさせるな」など高校野球の投手起用に対して炎上。
他にも「2位もビリも一緒」として切り捨てたり、昔ながらの根性論が得意で特に若者層からの評判が悪い。

ネットでも様々な否定意見が多い

  • いい加減にこのジジイもう要らんやろ?
  • 降板だよ。逆になんでこんな奴使い続けてる。
  • 大沢親分と違って、アスリートに対する愛が無い
  • この番組ごとなくなればいい

なぜこれほどまでに炎上の多い張本氏に、10年以上コメンテーターが務まっているのか?

一言で言えば「高齢タレントにニーズがある」からだ。

テレビの年代別視聴時間

下のグラフを見てみよう。(平日1日のメディア視聴時間)

年代別テレビ視聴時間


このグラフを見れば、いかに高齢者がテレビを見ているかわかる。
10代・20代 と比べて70歳以上では5倍もテレビを長く見ていることがわかる。

<平日1日当たりのテレビ視聴時間>
■16~19歳:53分
■ 20代:1時間22分
■ 70代:5時間12分

テレビタレントを若者だけにしたら、高齢者は見るだろうか?
きっと若者の番組だと思いチャンネルを変えるだろう。
自分に近い年齢のタレントがいれば安心してみていられる。そういう心理があるのだ。

「古くさい考え」さらに「歯に衣着せぬ」 言い方も必要

視聴率を獲得するには、いかに視聴者層に合わせるか。そのためには高齢タレントの「古くさい考え」さらに「歯に衣着せぬ」言い方ができる張本氏がぴったりだ。たとえ炎上したとしても起用し続けるには理由がある。本人さえよければ多少の炎上など逆に番組にとってはプラスになる。

バラエティに多く出演する梅沢富美男も同じ。テレビに媚を売らず、江戸っ子気質が功を奏し言いたい放題。それでも出演依頼が絶えない。本人は「クレームが来たらいつでもクビにしてほしい」と番組側に伝えているほど。

もちろんスポンサーの意向もある。トヨタ自動車が冠スポンサーであれば、当然若者から中高年にみてほしいところ。高齢者に見てもらってもあまり意味がない。であれば高齢タレントの出演には意味がなくなる。ではお酒のスポンサーの場合はどうか。未成年以外であれば全年齢対象だ。健康食品はどうか。これは高年齢者が主なターゲットなので、高齢タレントがニーズとなる。

テレビ視聴時間帯グラフ

ちなみに、テレビ視聴の時間帯についてのグラフはこちら。

年々視聴率は減少し続けている。それでも夜の時間では約4割の人がテレビを見ていることになる。
その中の多くは高齢者だ。番組を作成する上で高齢者をないがしろにできない。